2013年10月21日月曜日

ケヤキの落葉を釉薬に


 今年も庭のケヤキが葉を落とし始めました。樹齢100年を越す大木です。はらりはらりと落ちてくる葉は美しく、ため息をつきながら眺めていたいものですが、moggy potteryにそんな暇はありません。葉っぱを台風に持っていかれては大変です。せっせと集めて燃やし、灰を取って釉薬にするのです。
 
 
陶芸を始める前は、ただただ大変なだけの落ち葉掃除でしたが、今は違います。釉薬の材料が黙っていても空から降ってくるのですから、こんな素敵なことはありません。冬の間、枯れていた枝が、春になると芽吹いて、夏には空が見えなくなるほどたくさんの葉になって、秋になると落ちて。毎年毎年、釉薬の原料が目の前で生産されるわけです。
  始めたばかりの頃、どんな焼き物をやっていくのかということを考えたとき、きっとなにか私に与えられたものがあるはずだと思いました。私のところでは粘土は掘れません。またそれだけのことをする時間も私にはありません。だからせめて釉薬は自分のものを作りたいと思っているところへ、はらはらと落ち葉が。ああ、これだ。たぶん、これが釉薬になる。先に釉薬を決めて、それに合った土を探していけばいいんだと、方針が決まりました。
 
 やってみたら、落ち葉灰の釉薬はなかなかに大変だったのですが、どうにか成立するようになってきました。もっともっと磨きをかけて、魅力を引き出してあげたいなと思っています。今でも落ち葉が灰になって、それが窯の中で熔けて、焼き物の表面の綺麗なガラス質になって出てきたときの最初の感動は忘れられません。焼き物って錬金術なんだなあと実感した瞬間です。

0 件のコメント:

コメントを投稿