2013年10月25日金曜日

ものづくりの修行のためのアトリエ建築


 moggy potteryのアトリエは、自分で建てました。なるべくお金をかけずに始めたいということもあったのですが、私はものづくりの経験がないので、その修行のためというのが一番の動機です。これまで私がやってきたことといえば、舞台、カフェ、CATVと、ものづくりとはまったく関係ないことばかり。これからひとりで陶芸をやっていくために、なにをどうしたらいいのか、それすらよくわからない。だからアトリエを自分の手で作るということは、いい訓練になると思ったのです。

 簡単ではありませんでした。私のところは傾斜地で、まず平地を作るために地面を掘る必要がありました。アトリエだけなら掘らずにウッドデッキのように浮かせてもいいのですが、蹴轆轤はコンクリートで固定するため、地面に接している必要があります。

 普通なら重機を入れて掘るのでしょうが、そんな大掛かりに始められるほど先の見通しは立っていませんでしたから、とりあえずスコップを手に掘り始めました。これが今思えばよかったのです。
 一人でアトリエを建てるという目標はさすがに達成できるかどうかわからず、不安に押しつぶされそうなときもありました。そんなとき、今、目の前の土をスコップで掘ることなら出来ると自分に言い聞かせ、前へ進んだのです。毎日少しずつ掘りながら、どんなアトリエにしようか、ろくろはどの辺に設置しようか、窓の位置はどうしようか、そんなことを一つ一つ具体的にイメージして決めていきました。


 DIYの知識もなかったので、本屋さんで「超基本DIY木工」とか「自分でわが家を作る本」「図解ツーバイフォー工法」などという本を買ってきて勉強しました。3坪までの建物なら建築申請が必要ないということから、アトリエの大きさは3坪と決定。簡単な設計図が出来た頃、地面を掘る作業もようやく終わりを迎えました。3ヶ月が経っていました。
 
 それから枕木で土留めをし、基礎をやり、タイルを敷き詰め、壁を立ち上げ、屋根をかけ、ドアを作り、窓を作り、ろくろを設置して、アトリエが完成したとき、私の中にはようやくものづくりをやっていける自信のようなものが生まれていました。一年半に及ぶアトリエ作りで、実際に陶芸を始めるのは遅くなってしまいましたが、一番大事なことを身につけたのです。作りたい物をイメージし、それを実現させるために、なにをどうすればいいのか。それがなんとなくわかってきたのです。 

 壁にぶつかったら乗り越えればいい。乗り越えられなければ他の道を探せばいい。出来ないと諦めるのではなく、自分に出来るやり方を見つければいい。それを実際に繰り返しながら、私はアトリエという自分の城と、ものづくりの基礎を手に入れたのです。
 


 




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