2013年10月24日木曜日

試練の窯ダウン

  いずれ薪窯を作りたいと思っているのですが、今はまだ小型電気窯を使っています。大きな物は焼けませんが、出来たものをためずにちょこちょこ焼けて、気軽に実験するには最適です。調子良く使っていたのですが、よりによって展示を控えたこの時期にダウンするというトラブルに見舞われました。さすがに大きなため息とともにガックリ首をうなだれて固まっていたのですが、いやいや固まっている場合ではないと思い直し、冷静に立ち向かうことにしました。
 
 温度が上がりきる前にエラーが出るので、どうやらヒーター線の寿命のようです。夏からずっと焚きっぱなしだったのが堪えたのかもしれません。購入から4年、本焼き回数は85回。100回以上は焼けるかなあと思っていたのですが、仕方ありません。まだまだ働き盛りと思っていても、無理をしたらイカンのです。人間も機械も。
 

 メーカーに問い合わせてもあまり親切に教えてくれず、すがる思いで購入店に問い合わせたら、とても親切な対応で、さっそくヒーター線を取り寄せてくれました。ちょっと高いです。約32,000円の出費。でもすぐに手に入ったのでほっと胸を撫で下ろしました。10日ほどのロスで済みました。
  


 ヒーター線とともに交換手順を書いた説明書も入っていました。簡単そうです。窯の後ろのパネルを外して、接続してある線を抜いて取り替えるだけ。慣れた人なら1時間半ほどの作業だそうです。ところが楽勝だと思ったのはパネルを外すところまで。ヒーター線を固定してあるUピンをラジオペンチで引き抜くのがものすごく大変。力を入れないと抜けないし、勢い余って壁にぶつかると炉壁がポロポロと崩れてしまいます。お手上げ一歩手前でしたが、何とかやりきるしかありません。困難な状況は何度もくぐり抜けているのだから大丈夫、きっと出来る。そう自分に言い聞かせると、なんとかなるものです。


   古いヒーター線はペンチで引っ張るとまるで乾麺のようにパキパキと切れてしまいました。こんなに劣化していたら温度が上がらないのも無理はありません。よくこんな状態で頑張ってくれてたなあと思うと、窯に感謝の気持ちがわいてきます。





  新しいヒーター線をはめるのがこれまた一苦労で、窯内部のコイル状の部分は簡単にはめられますが、線の端を外に出すのが至難の業。元の穴とは全然違う位置から出てしまうのです。あまり失敗すると穴だらけになってしまいますから、指先に意識を集中。もうこのあたりで日暮れを迎えていました。ああ、腰イタイ。 


 どうにかこうにか接続して、余った線をペンチでカットしようとしたら、硬くて切れないので、ディスクグラインダーでカットしました。  


  説明書には余った部分をカットするなんてことは書いてありません。もう少しビギナーへの思いやりが欲しいなあ、ぶつぶつ…と文句を言いながらも何とか作業を完了。その後、素焼き、本焼きともに順調に昇温し、やれやれです。またひとつ、試練を乗り越えました。


 今回のことで得た教訓。こういうことは起こるものなのだということ。展示や納期のあるものは、いつでも余裕をみて作るようにしなければいけないということですね。

2 件のコメント:

  1. アニメの学校で、予算と時間は10%余分に取れ、って教わりました。私は15%ぐらいを目標にしてやってます。多分製品自体も、10%位余裕を持って作られてると思うんで、多少ボロボロ欠けても動くようになってるんじゃないかな。

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    1. 電気が流れるものなので、さすがにボロボロでは無理でしょう。

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